2024年3月29日金曜日 太宰の駆込み訴えっていいよねぇ……

 今日は1時前に寝て12時前に起きました。10時間以上寝られたみたいで寝覚めもスッキリです。いろんな夢を見たはずですが、何も思い出せなくて悔しいです。冷凍うどんを解凍して胡麻と麺つゆと柚子胡椒で素うどんにして食べました。夫が買ってきてくれたエビフライも一本あったのでありがたくいただきました。

 なんかお風呂に入りながらスマホでいっぱいブログを書いたんですけど、プレビューしたら全部消えちゃったので、いっぱい書いたんだよということだけ書いておきたくて今書いてます。今日はいろんな用事を済ませたし買い物もできてよかったとか、エロ小説を写経しようと思っていることとか、ルサンチマンって聞くとムカつくけどそれって自分の中にルサンチマンがあるからかもなって思ったこととかを書きました。でも再現するのがめんどくさいので、書いたんだよということだけ書くに留めようと思います。スマホからブログを更新するのは危険だということがわかったので、今後避けようと思います。

 写経と言えば、あ、ここでいう写経って言うのは硬筆とか毛筆とかで書くことではなくて「タイピングして写すこと」なんですけど、赤毛のアンを写経したら赤毛のアンみたいな文章が書けるのかなーと思ってちょっと興味があります。うろ覚えで赤毛のアンを再現写経して、読み返して間違っているところを修正して、っていうのを繰り返せば文体が自分の中に染みるんじゃないかなと。やってみたいです。赤毛のアンじゃなくても、駆け込み訴えとかもやってみたいです。赤毛のアンは今実家にあるのでアクセスできないけれど、駆け込み訴えは青空文庫で読める(読めます!→太宰治 駈込み訴え)のでありがたいです。青空文庫が私はとても好きです。青空文庫を作ってくださった方に感謝しています。そしてまた、著作権が作者の死後50年で切れてくれることがありがたいです(2018年末まで著作権の存続していた作品については死後70年とのこと)。でも駆け込み訴え、かなり昔に読んで、そのときは身も世もなく号泣したけれど、最近全く読んでないので、本当に、全然、再現できそうもないですね、現状。ちょっとやってみるか。駆け込み訴えが何文字なのかだけ……あ、太宰治『駈込み訴え』 - 60分以内で読める中編 | ブンゴウサーチによれば14,487 文字だそうです。文字数がわかってありがたいです。すごい文字数ですね。14487文字もユダは独り語りをしていたのかよ。驚きました。検索したら冒頭がちょっと目に入っちゃいました。なんか訴え申し上げてる感じですね。できる気が一切しないけどまず第一段階としてやってみよう……。

 

 旦那様、旦那様、訴え申し上げます。私、ユダと申します。へえ、イスカリオテのユダ、と仲間内では呼ばれることもありますが、ええ、そうです、私があの、今ローマ中を騒がせているあの一行、ユダヤ人の王だとか、神の子だとか、民が好き勝手祭り上げたものだから、ローマを監督される皆様におかれましては、やれまたユダヤ人どもが騒いでいると、大層お耳汚しであったかと思いますが、ええ、そのイエス一行の、金勘定を任されております、ユダと申します。このたびは、このような下賤の者ではありますが、お目通りが叶いましたこと、心から感謝を申し述べる次第でございます。はい、申し訳ございません、ついつい長くなりました。この尽きぬ感謝の思いは伝えておかなければならないと思い……はい、本題ですね。本題に入らせていただきます。このたび私が訴え申し上げたいこととは、何を隠そう、ユダヤ人を扇動し、ローマ皇帝の威光をまったく無視して自分たちの帝国を作り上げようと画策している、イエスその人を、捕まえていただきたいということなのです。ええ、皆様のおっしゃりたいことはわかります。そのイエスとやらが捕まってしまえば、一向に付き従っていた私も罪人となるのに、なぜ裏切るような真似をしてこのように訴え申し上げているのか、ということですね。はい。これも包み隠さず申し上げます。私は、あの方には、ほとほと愛想が尽きたのでございます。あの方のために、私がどんなに心を割き、苦労をして金を作ったか。あの方は何もわかっちゃいないんだ。あの方の取り巻きの奴らだって、考えなしの上っ面野郎ばかりで、私が心血を注いでやりくりした金をわからずやの民なんかのために使っておきながら、しまいには私のことを見下す始末。……ええ、はい、申し訳ございません。ついつい熱くなってしまって……しかしながら、これは重要なことなのございます。訴えの核心でございますから、皆々様にも聞いていただきますとも。聞いていただかねばなりません。あの方の理想は美しかった。あの方のおっしゃっていることは真実だ。だけれども、金がなくては始まりません。金がなければあの方も、取り巻きたちも、腹を満たせたでしょうか。宿に泊まれたでしょうか。着るものがあったでしょうか。あの方はあまりに美しい理想を持って、浮世離れの繰り言ばかりしているものだから、すっかり忘れてしまったんだ!人が生きていくにはパンがいるのです。言葉だけで生きていける人間があるものか。また、あの方はこうもおっしゃいました、「野の花をごらんなさい。明日は刈り取られて焼かれる野の花でさえ神はあのように装ってくださる。ましてやあなたがたはなおさらである」。ああ、なんて美しい言葉でしょう。私はあの方が美しい言葉を語るのが好きだった。だからこそ、職を捨て、故郷を捨て、家族を捨て、あの方に尽くした。全てを捨てて尽くしたのです。私はすべてを失いました。しかしそれでも、ただあの方を得ていたならば、私はすべてを得ていたでしょう。しかしあの方はどうだ、私の献身を、私の無私の愛を、あの方は踏みにじった!取り巻きどもと一緒になって、私を糾弾した!許せない。到底許せることではない。ああ、申し訳ございません、皆様のお耳をこのような下賤の者の言葉で汚してしまいまして……ええ、しかし、聞いていただかなくてはなりません。私は罪人です。あの方の理想に酔いしれ、道を共にした、そのことで偉大なローマ帝国を侮辱し、皆様の平安を脅かしてしまった、許されざる罪人です。私は今日あの方をあなたがたに引き渡すためにここに来ましたが、同時に、私自身も牢にいれ、相応の罰を与えていただきたいと願っているのです。私にはそうするしか、おのれの罪を償う方法がないのです。ですから罪人の最後の言葉をどうか、どうか聞いていただけないかと、切に願っているのです……はい……ありがとうございます。続けさせていただきます……。奴らは今頃あのオリーブ山の丘にいます。私がその場に引き付けておきますから、捕まえるなりなんなりしていただければと……なんと、情報の提供料として金銭を頂ける、と仰るのですか。そして私は牢に入らなくてもいいと。ええ、いやあ、そんな、まったく思いもよらないことで……この情報がお役に立てたならばそれだけで私は……ありがたいことで…………この金は、なんだ!?金で売ったというのか!この私が!あの方を!ふざけるな!たった30シェケルで……たった30シェケル、たった30シェケルで売られる。そうだ、あいつには、お似合いの末路だ。ははははは!30シェケルで、あいつは、私に売られるのだ!……取り乱してしまって申し訳ございませんでした。重ね重ね、お詫びを申し上げます。本日はこのような塵にも等しい卑賎の者の訴えを聞いていただき……はい、申し訳ございません、こちら、頂いて参ります。はい、はい、ありがとうございます。ありがとうございます。それでは皆様の寛容さに改めて感謝を。皆様の前途に幸の多からんことを御祈願申し上げます。それでは……。(2079文字)

 

 わー!全然わからない!ユダはイエスのことなんて呼んでるんだっけ、訴えのなかで!?(→あの人、だった)。30シェケルでいいんだっけ!?(→三十銀、だった)あれ?!お金受け取りますよね結局?!(→受け取る。)全然わかんなかったけど、でも、楽しー!!これ、脳が気持ちいいですねー!でもこれで2079文字しかなくて14,487 文字あるなら、ユダはこの7倍、訴えてるってこと……?ローマの人もよくユダの訴えを最後まで聞いてくれたましたよね……やっぱり異様な気迫があって話の腰が折れなかったんでしょうね……。さ、本物の駆け込み訴えを読んでみるとしましょう。やべーーーーー!!本物の駆け込み訴え、すごいですね、さすがです……なんかもう、気迫が違う。「ずたずたに切りさいなんで、殺してください」ですもんね。ああーー!!そうだそうだ、そうだった、ユダが「本当はイエス様とその母マリアと自分だけで田舎にでも引きこもって静かに暮らしたいんだー!」って言う場面、あったなあ!あー、やっぱりナルドの壺の場面は入るかぁ……全然憶えてませんでした。あー、それでイエスがマリア(香油のマリア)に惚れたんだと思い込んで、それもイエスを引き渡す大きな動機になるんですね……はぁすごい……あー、それでエルサレム入場のときにユダはやっぱりイエスを許したいような気になって、だけどやっぱり引き渡そうってなって……弟子の洗足でまたイエスを許したいような気になって、最後の晩餐の裏切り宣告でついに出奔するのか……ねえ、ちょっと、本当に、すごい……「はい、はい。申しおくれました。私の名は、商人のユダ。へっへ。イスカリオテのユダ。」で終わるんか、この小説……エグ……それを私は最初に出しちゃったんだ。ああ……そうかあ……発狂状態の人間は最初に名前なんか、言わないんだね……ああ……すごい……打ちのめされました。

私は、ちっとも泣いてやしない。私は、あの人を愛していない。はじめから、みじんも愛していなかった。

太宰治 駈込み訴え

 私は、ここの部分が好きです……。

 歌い手のGeroさんがやっていたうろ覚えで歌を歌う動画が好きでした。うろ覚えで名作を再現タイピングするのも好きかもしれません。うろ覚えって面白いと思います。うろ覚えポケモン絵描き対決も好きです。

 推しを推すのってなんだかちょっと心細いですね。ファンコミュニティでわちゃわちゃしたくなります。わちゃわちゃすると脳が喜びます。